片恋など　三田洋作詞集

三田洋作詞集　「片恋など」

「片恋」「紙飛行機」「わたしはだあれ」「戦場の子供たち」「鳥」「おかあさんでいっぱい」「靴の道」
「下高井戸ラプソディ」「花水木」「経堂ラプソディ」NEW「成城ラプソディ」」

　　　片恋など　三田洋作詞集

　　
　わたしはだあれ
　作詞　三田　洋
　　　　作曲　池辺晋一郎
　　ピアノ　寺嶋陸也
歌谷潤子
　頬をかすめる赤トンボ
　鬼ごっこ捨てて　里山越えて　　
　もっともっとスピードあげて
　こんなに急いでやってきた

　愛するひとの文字の癖
　濡れ縁捨てて　垣根を越えて
　もっともっとスピードあげて
　こんなに急いでやってきた

　ここはどこなの　この佇まい
　街に積まれた　異様な事件簿
　あなたはだぁれ　わたしはだぁれ　

　どんな時代をどんな横丁を
　曲がり間違えてきたのだろう
　もっともっとスピードあげて
　そんなに急いでどこへいったの

　ここはどこなの　この佇まい
　あふれる欲望　いのちの軽さ
　あなたはだぁれ　わたしはだぁれ

　もっともっとスピードあげて
　それでも競いつづけてる

　あなたはだぁれ　わたしはだぁれ
　わたしはだぁれ　あなたはだぁれ

　初演・２００５年「せたがや歌の広場コンサート
　 (世田谷砧区民会館)

　
　　NHK N響アワーでおなじみの
　池辺晋一郎さん (東工大HPより)
　
　

　「わたしはだぁれ」の楽譜
　

　池辺さんよりいただいた三曲の楽譜
　　　

　　　片恋

作詞　三田　洋
作曲　池辺晋一郎
ピアノ　寺嶋陸也
歌　　　谷　篤

　人と人との間には風がふいている
　この熱い想い
　とどく道があったら

　人と人との間には川が流れている
　びしょぬれにならないで
　通える橋があったら

　　　私をめぐる　孤独の深さ
　　愛の片肺危うい世界
　　

　人と人との間には人が住んでいる
　傷つけあわないで
　行き着く術（すべ）があったら

　　　私を変える　生きてる深さ　　
　　　愛の片肺　見えない世界　
　　

　人と人との間には別の私が立っている
　おし戻されないで
　越える道があったら

　この熱い想い　
　とどく道があったら　　
　
　　　初演・２００４年度「せたがや歌の広場コンサート」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(世田谷砧区民会館)　　
　　　

　　　 紙飛行機

　作詞　三田　洋
　　　　作曲　池辺晋一郎
　　　ピアノ　増井めぐみ
歌　谷　篤

　　あそこまでのはかない旅です
　　もっと　もっと高く
　　飛ばしてください
　　あなたの理想がとどくよう

　　途中で落ちてはいけない旅です
　　もっと　もっと強く
　　押しだしてください
　　あなたの思いがとどくよう

　　やりかえせない一回きりの旅です
　　もっと　もっと愛しく
　　とき放ってください
　　あなたの愛がとどくよう

　　飛べよ飛べ
　　風にのれ
　　あなたをこえて
　　飛べよ飛べ
　　時代をこえて

　初演・２００３年度「せたがや歌の広場コンサート」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(世田谷砧区民会館)

　　　


戦場のこどもたち　　　作詞　三田　洋　　　　　作曲　菊地雅春　　　　　歌　上山美恵子　田中誠　どこへいったのわたしのお部屋　どこへいったのおませの人形　ピンクのピンクのフリルのカーテン　わたしの想い出　どこへいったの　どこへいったのぼくの机　どこへいったの泣き虫先生　追っかけ追っかけ朝の校庭　ふくらんだ夢　どこへいったの　　バラはこんなに咲いているのに　　ハトはこんなに飛んでいるのに　どこへいったの　お髭のパパ　どこへいったのおしゃべりママ　静かな静かな夜の月　みんなの歌　どこへいったの　　風はこんなにさわやかなのに　　空はこんなに晴れているのに）　　　　初演・２００３年度「せたがや歌の広場コンサート」　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(世田谷砧区民会館)	鳥 BGM 　作詞　　　三田　洋　作曲・歌　辛　鐘生　わたしはぐっすりねむっていたのに　鳥は死んでしまった　わたしはなぜねむったのだろう　なぜねむれたのだろう　冬のあさ鳥が死んだ　止まり木からさかさにおちて　もう指一本ふれることができない　いきものを買ってきたつもりだったのに　わたしはどこでまちがえたのだろう　ここまでやってきているのだから　わかっているはずなのにわかっていない　冬のあさ鳥が死んだ　わたしはなぜねむったのだろう　なぜねむれたのだろう　もう指一本ふれることができない　　　　「辛鐘生　悪い夢」( office KON　CD発売中)

おかあさんでいっぱい作詞　三田洋　　　　　曲　川本哲　　　　　　　歌　谷篤・谷潤子　それではそれでは　子どもってなぁに？　おかあさんでいっぱい　おとうさんでいっぱい　じぶんでいっぱい　おっぱいでいっぱい　うんちでいっぱい　ふしぎでいっぱい　　ぼくもあたしも白い紙　　初めにかくのはおかあさん　　いっしょにかくのはおとうさん　　いっしょにかくのも世の中さん　それでもそれでも　子どもってなぁに？　わがままでいっぱい　おねしょでいっぱい　なみだでいっぱい　笑顔でいっぱい　世の中でいっぱい　未来でいっぱい　おかあさんでいっぱい　おとうさんでいっぱい　じぶんでいっぱい　おっぱいでいっぱい　うんちでいっぱい　ふしぎでいっぱい　それでもそれでも　子と゜もってなぁに？初演・２００7年度「せたがや歌の広場コンサート」　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(玉川区民会館)	靴の道　　　　　　　　　　　　　　作詞　三田　洋　　　　曲　鈴木重夫　　　　　　歌　窪田晶子　靴をなくした夢ばかりみて　捜しつかれて目を覚ます　そこはあの日の分かれ道　苦しみながらも選んだところ　　　足になじんだ古い靴　　　履き間違えた細い靴　　　どこにいるの　　　どこへいったの　　　わたしを捜しに靴の道　　今宵もまた靴をなくした　途方に暮れて目を覚ます　そこは別の分かれ道　ひとを愛してさまよったところ　　　　履きにくかったしゃれた靴　　　躓きころんだ泥の靴　　　どこにいるの　　　どこへいったの　　　わたしを捜しに別の道　　見知らぬ道で靴を見つけた　ここにあそこにしょんぼりと　選ばれなかった分かれ道　知らないわたしが歩いている　そこは別の分かれ道　ひとを愛して佇んだところ　選ばれなかった分かれ道　別のわたしが歩いている　選ばれなかった分かれ道　知らないわたしが歩いている　　　初演　2008年度「せたがや歌の広場コンサート」 (玉川区民会館)

下高井戸ラプソディ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　作詞　三田洋　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　曲　三柴恵　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　歌　畠山和子アジサイゆらして芋虫電車カーブを曲がれば終着駅改札出れば風がふき松原三丁目の三畳下宿世話焼きおばさん知りませんか弁天池のぬかるみ過ぎれば明日へと走るレールが見える「桜の園」と手作りビラと玉電に乗りこむ若き足あとあの日のぼくは　わたしはどこ？シャレたお店もジーンズもないが両親代わりの駅前市場淡い恋しか知らないけれどあの日のデートは高井戸東映彼女の錦之助知りませんか石塀かすめて新鋭電車豊かさ競り合い急カーブ世話焼きおばさん　錦之助　みんな駆け去りデジタルのレールあの日のぼくは　わたしはどこ？　初演　2009年「せたがや歌の広場コンサート」　　　　　(砧区民会館)	ピアノ　三柴恵さん　歌　畠山和子さん　ソプラノ　畠山和子さん　(写真はいずれも三柴さん提供)

　 花水木
　　　　　　　　　　　　　　　作詞　三田洋
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　曲　三柴恵
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　歌　畠山和子

細い前髪かすかにゆれて
肩のすき間を風が通っていく
近すぎても離れすぎてもいけない
ほどよい距離とは何だろう

　諍いのあとの曲がり角には
季節が優しくたたずんでいる

だれもが別の道からやってきて
出会いの不思議さかみしめる
速すぎても遅すぎてもいけない
ほどよい歩幅とは何だろう

季節がたたずむ並木道には
思いを集める白い花水木

急な坂道のここを過ぎて
ふりかかる花ことばの優しい願い
離れすぎても近すぎてもいけない
生きる哀しみ分けあいながら

向き合ったあとの大通りには
行き交う家族と花水木でいっぱい

近すぎても離れすぎてもいけない
ほどよい距離とは何だろう
遅すぎても速すぎてもいけない
生きる喜び分けあいながら

　歌手　畠山和子　ピアノ　三柴恵
初演　2010年「せたがや歌の広場コンサート」
　　　　　(砧区民会館)
　　

　　
　　経堂ラプソディ
　　　　　　　　　　　　　　　作詞　三田洋
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　曲　菊池雅春
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　歌　鹿内芳仁
細い肩幅わずかにふれて
深夜ラジオ　時代の香り
貧しくても切なくてもいい
きみの願いと交わるなら
小田急経堂すずらん通り

リルケの並ぶ古本屋過ぎて
後先になって　ぬけていく
ぬかるみでも1DKでもいい
ぼくらの想いがふくらむなら
千歳船橋森繁通り

白秋の歌碑過ぎ小さな住まい
ユーミン長女も　嫁いで遠く
核家族でも無縁社会でもいい
優しさで繋がりあえるなら
祖師谷大蔵ウルトラマン通り
経堂　船橋　祖師谷ぬけて

時代を変える　こころの行方
淋しくても苦しくてもいい
ぼくらの明日が交わるなら

　　初演　2011年「せたがや歌の広場コンサート」
　　　　(砧区民会館)

成城ラプソディ
　　　　　　　　　　　　　　作詞　三田　洋
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　曲　服部克久
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　歌　池谷京子

触れあう青春　めぐりあい
肌をいろどる　イチョウの並木
ここは成城　出会いのキャンパス
暑い指先　ふくらむ想い
互いに交わした約束のステージ

逢瀬の窓辺は　風月堂
ふるえつづけた　コーヒーカップ
ここは成城　時代はめく゜り
深まる不安　見えない想い
ふたりで触れた　年輪の幹はどこ？

東に仙川　野川は西に
遠く白秋　柳田國男
ここは成城　世界のミフネ
足を伸ばせば　撮影所
輝きつづけた　並木の香り

時代は更けて　ひとりの並木
賑わうショップ　顔さえ見えず
ここは成城　ガラスの駅ビル
ドラックストア　コンタクト
熱い指先　約束のステージはどこ？

輝きつづけた　並木の香り
ふるえつづけた　コーヒーカップ　
　
　　初演　2013年「せたがや歌の広場コンサート」
　　　　(砧区民会館)

　　２００7年度「せたがや歌の広場」　(玉川区民会館)　　　　　　　　小田急ケーブルテレビより（2003年）
お知らせ コンサートの収録CDが発売されています。問い合わせは世田谷区文化国際課（５４３２－１１１１）まで。