仙崎湾
(北長門湾という名称がないことを承知でつけました)
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北長門湾 かえってきたときには 船はでてしまっていた じゅうぶんきをつけてきたのだが その気配さえわからなかったのだ 海はとおくまで゜ ひかりにあふれ 無常にまぶしい あのとき 医者はもうておくれですといった 溲瓶のふち酸素吸入器の 添寝の明けがたの窓うつ顔の 無為と有為の はるかな慟哭のさきで しかし 船はでてしまっていた わたしの用意がおくれたのだろうか ここで うめくははおやの かくじつに息絶えるさまを わたしはみすえなくてはならぬ こんなとき海はないでいる いまは冬なのか はるだろうか ひとがはなたばをもってきて おだいじにといってかえっていく わたしはおじぎをする ないてくれるひともいる わたしはおじぎをする みぞれふれさかさまになみたち叫(おら)べ おくるものゆくもの往生のこえきこえぬよう しかし 船はもうでていってしまった 海はひろく うかぶ余地もない |
仙崎湾
(北長門湾という名称がないことを承知でつけました)
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